こんにちは。kuriです。
先月上野の「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」に行ってきました。とてもよかったので、フェルメールと今回初公開となった《窓辺で手紙を読む女》について紹介します。
ヨハネス・フェルメール(1632-75)は貿易、科学、軍事、芸術において黄金期にあった17世紀オランダを代表する画家です。
■フェルメール作品の特徴
室内風俗画
当時の市民の日常生活を切り取った作品が多く親しみやすいです。西洋絵画によくある宗教画など、背景を知らないと良くわからないなーとかなりますが、そういう障壁が低いです。
構図
立体的に描く遠近法を用いていました。消失点にピンを刺し、そこから紐とチョークをつかい線を引き、その線を元に歪みのない精緻な構図で描いています。また、あえて部分的にセオリーからハズすことで視線や視覚効果を巧みに操作しています。
光
人物、布、金属に当たった光や、反射した光、ガラスを通過した光など表現方法が多彩です。窓から一方向に光が差し、主題とそれ以外を分けている構図と相まって、視線を誘導されます。
色
限られた色彩しか使わず、常に7色しか使わなかったそうで、黄、赤、青は全ての絵に共通しています。色が少ない分、色の使い分けを際立たせており、青と黄のコントラストはとても見事です。(ゴッホも影響を受けたとか。)特に希少な鉱石からとられ当時非常に高価だった青色顔料を好んで使用し、その深みのある青の表現は「フェルメール・ブルー」と呼ばれます。その貴重な青を聖母ではなく、一般女性を描くのにふんだんに使用しているのもユニークですね~。
ストーリー性
ストーリーを容易に読み取られないように緻密に構成され、モデルや依頼主も不明なものが多くミステリアスです。見る人によって印象が変わる点も魅力かもれません。
希少性
現存する作品が30点あまりしかありません。制作年やフェルメールかどうかも不詳なものが多く謎が多いです。
■《窓辺で手紙を読む女》について
この作品はレンブラントの作品とされたりピーテル・デ・ホーホ作ともされたりと紆余曲折がありましたが、最終的にフェルメールの作品として認められました。フランスからドイツへ、また戦禍を避けるためスイスに疎開したりソ連に接収されたり、その後ドイツに返還されたりと数奇な運命を辿りいまに至っています。
誰がなんのために?上塗りされた絵画の謎
- 1979:X線による調査で女性の背後の壁の一部が上塗りされていることが判明(専門家の間でも、フェルメール本人が塗りつぶしたと考えられてきた)
- 2017:修復作業とその後の調査で…彼の死後に、何者かによって上塗りされた事が判明
- 2018:上塗り層の除去が決定。大規模な「修復プロジェクト」が始動。「フェルメールが描いた本来の姿を蘇らせたい」
みてきましたよ。
この作品はずい分前に見たという事もあり、黄色くくすんでいた思い出がかすかに残っているくらいでした。
ですが、今回修復後の作品を目の当たりにして、色彩の鮮やかさにとても驚きました!
これが300年以上前の本来の色なのかと思うと、とても感慨深かったです。
室内に飾られた絵画(画中画)には作品のメッセージが込められています。今回の修復で画中画が現れ、250年を経て作者の意図がみえてきたそうです。
修復工程も紹介されており、薬品で柔らかくした古いニスを、メスで少しずつ削っていて驚きました!ホントに修復職人さんあっぱれです?
実はだまし絵が隠されていたり、修復前のレプリカと見比べて間違い探しをすると新たな疑問に気づき、どんどん謎が深まっていきます?
もともとフェルメールはモチーフを幾度も描き直すことで知られ、今後も研究や修復が進むとまた違った姿になるかもしれません。(いまの姿はいましか見れないかも..。)
どちらが好きですか?
フェルメールのスタイルを確立する初期の傑作
東京でみれるフェルメールとしては※コンパクトな展示で、かつて無いほど「ゆとり」をもってみれると思いますのでご興味ある方はぜひ御覧になってみてください!
作者が描いた当初の姿となった《窓辺で手紙を読む女》は所蔵館以外での公開は、世界初です!4/3(日)までなのでお見逃しなく!
チケットは▶こちら
(当日券でも大丈夫な場合がありますが、予約しておくと安心です)
※本展示でフェルメールは1点しかありませんw
(フェルメール展として複数展示される場合はメチャ混みで見れませんので?)
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おまけ
上野に寄るーというと家族からお土産を買ってくるようにと司令がありました。
あんみつを自宅で味わう。アートなひと時だったけれども、けっきょく花より団子なのでした??。
おしまい。